Yきょうじゅ

私が勝手に師匠と思っている人に、Y教授がいる。

Y氏に会ったのは、北大工学部のT研究室でだった。当時Y氏は講師で、私が興味を持っていた数学基礎論にくわしそうだったので、そこの研究室にもぐりこんだのだった。結局その研究室には1年すっぽかして1年しか行かなかったのだが、Y氏は辛抱強く私を説得してくださった。落第生の私をとにかく研究室に足を向けさせようと、Y氏は私と1対1で毎週論理プログラミングの基礎論を教えて下さった。Y氏はほめ上手で、私を「山師」とほめて下さったので、その気になった私はようやく研究室に足を向けるようになった。Y氏はその後、京大の教授に就任された。

たっきゅう

卓球だけは私の得意なスポーツだ。

私は中学校に入った時、何か部活をやらなくてはならなくて、卓球部に入った。理由は、チームプレーがないので人付き合いが楽そうだったのと、簡単そうだったからだ。入ってみて、思いのほか厳しかったので最初はつらかった。少し考えるとあたりまえの話だが、どんなスポーツでも他校に勝とうと思うと、厳しい練習を長時間しなければならないのだ。私の中学校の卓球部は、帯広市ではトップで、十勝では3位だった。十勝トップは札内中学校、2位は幕別中学校だった。

社会人になって、システム開発の現場や妻の知り合いの中国人と付き合いするようになると、この卓球は思いのほか役にたった。卓球は中国ではメジャーなスポーツで、よく友達と卓球して遊ぶのだ。

卓球にはひとつ思い出がある。私がある外資系ソフト会社にいた頃、アメリカ本社に長期滞在した。本社には卓球ルームというのがあって、そこでは中国人たちが楽しそうに卓球をしていた。私もまぜてもらい、同僚の韓国人とタッグを組んで中国チーム対日韓連合で試合をした。負けてしまったが、いい試合だった。

しすてむ

カブドットコム証券が、新しいサービスを開始した。

「スタートは安全性を重視した」—カブドットコム証券が夜間取引を開始

記事によると、システムはパッケージを元に開発し、OSはWindowsとLinux、オープンシステムで、自社開発でシステム投資は17億円だそうである。ここからは推測だが、OracleのようなRDBをデータ保存に使用し、複数台のサーバーで負荷分散、プログラミング言語はC++だろう。この選択は、いずれも正解だと思う。

逆に言うと、最悪の選択は、システムをゼロから開発、OSはメーカーの独自OS、メインフレームで、開発は丸投げで、プログラミング言語はCOBOLということになる。このような選択をしてしまうと、まずシステム投資が大きく、維持費も大きく、能力拡大やシステムの修正も難しく、またシステムを修正できるプログラマーの人口も減りつづけているため何かあったときのリスクも高い。残念ながら日本の会社は最悪の選択をとりやすく、またそれがIT戦略の失敗という形で競争力の低下を招いているのである。そう、日本はIT活用という点では後進国と言っていいと私は思う。

まじめ

最近の学生は、まじめだという。

私も、小さい頃からまじめだ、とよく周囲に言われてきたし、自分でもそう思っていた。だが学生時代の私は、不真面目だった。ジャズ研に入った経緯は以前お話したが、大学3年生の時は、ジャズにのめりこんだのと鬱で大学には1日も行かなかった。1日行かないのも1年行かないのも同じだという幼稚な完全主義のせいでもあった。結局、この考えを改めるのには森田療法を要した。大学4年になった時にだいぶん目が覚めた私は、どうやったら卒業できるかを考えたが、考えるまでもなく、卒業するには4年生の1年間で2年分の単位を取るしかなかった。完全主義から方向転換して60点主義になった私は、とりあえず2年分の授業を受けて2年分の実験に出席した。提出するレポートは質より形式で、締め切りを優先した。テストも2年分受けるわけで、まともな点数を取れるほど勉強時間があるわけでなく、不合格続出だった。不合格になったテストは、教授のところへ行き、レポートを書くからなんとか「可」にしてくれと交渉した。いままでの「まじめ君」からは想像もつかない交渉ぶりだった。それに加えて、卒業論文の作成もあった。これも結果は散々で、あとでレポートを書くことでなんとか通してもらった。よく工学部は忙しく、「不夜城」と言われたが、私はさらにその倍忙しかった。結局、1年で学部2年分の単位を取ってめでたく卒業した。終わってみるとなーんだという感じで、これなら大学を卒業するのに2年あれば十分だという変な自信をもったものだった。

私は、大学生のときに不真面目になった。でもこれは社会人になるには必要な性格の切り替えでもあった。

こくさくそうさ

国策捜査というものは、皆が思う以上に頻繁に行われている。

この事例を考えてみよう。少し長いが引用してみる。

ペイントハウス、有価証券報告書に虚偽記載 訂正命令を初勧告

 ジャスダック上場の住宅リフォーム大手「ペイントハウス」(東京都多摩市、田子和則社長)が虚偽記載のある有価証券報告書を提出したとして、証券取引等監視委員会は二十九日、証券取引法に基づき、同社に対して同報告書の訂正命令を出すように、金融庁に勧告した。
 昨年七月に同報告書の検査権限を財務局から委譲された証券監視委が訂正命令を勧告するのは初めて。勧告通り同報告書の訂正命令が出されれば三十五年ぶりとなる。
 証券監視委によると、同社は、社債の債務を免除される和解契約を昨年十月に締結したのに、それ以前の同年八月期決算で、債務免除益約百十七億円を計上。約八十九億円の債務超過とすべきところを、連結純資産が約二十七億円あるとする虚偽の有価証券報告書を提出したとされる。
 同社は上場廃止の可能性がある監理ポストにあり、同期の決算で債務免除益が計上されるかが注目されていたという。
 同社は、勧告について「適切な会計処理を行ったものと確信している」などとするコメントを発表。また、今月二十六日には訂正命令の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしている。」

5月30日の記事だ。もう風化していてソースを探すのに苦労した。それくらい小さな記事だ。要は上場企業が117億円を粉飾しましたという記事である。経営者は逮捕されたか?されていない。企業に対して、「訂正命令」を出して終わりだ。ホリエモンはどうか。50億円の粉飾で逮捕、強制調査、長期間の拘束、しかも「大型経済事件」などと言われてしまっているのである。実態から言うと、経済事件には違いないが、「大型」というのはまちがっている。ペイントハウスとライブドアの扱いの差は何なのか。それは、ホリエモンを潰す必要性が国の側にはあったという事である。

ぴらみっど

「戸籍データ流出か、富士ゼロックス子会社脅迫の男逮捕」

またデータ流出だ。全貌はまだ明らかになっていないが、私の推測ではこうだ。自治体が戸籍システムの開発を「富士ゼロックスシステムサービス」に発注した。富士ゼロックスシステムサービスはちょこっと設計しただけで開発をどこかの下請けに丸投げした。下請けはさらに下請けに開発を投げ、それを繰り返して5次下請けくらいのピラミッド構造ができあがった。本番データも例によって1次受けから5次受けへつつぬけになった。ピラミッド構造のどこかの下請けが、「家で残業する」といって本番データを持ち出し、それをネットで売りさばいた。本番データを買った人物は、それを使って「富士ゼロックスシステムサービス」を脅迫したというわけだ。

この手の流出は、実は日本のIT業界では日常的に発生している。多重派遣と風呂敷残業がなくならない限り、この手の流出はなくならないだろう。

うぃっかーまん

1973年のイギリス映画「The Wicker Man」がリメイクされるそうだ。

私がこの映画を初めて見たのは東京に進学した友人の下宿でだった。私は当時、東北を放浪していてその果てに東京の友人の家にころがりこんだ。友人の下宿では1週間ほど滞在した。偶然、この友人もジャズ研究部に進んだので、私も友人の行く大学でジャムセッションをやったものだった。さて「The Wicker Man」という映画だが70年代カルトムービーの傑作と言われている。なんとも淡々とした映画だが、見終わったあとなんとも言えない、自分の立っている大地が実はぐにゃぐにゃだった事に初めて気が付いたような感じだった。リメイクがうまくいくかどうかわからないが、一度見てみるような価値はあるような気がする。ニコラス・ケイジ主演だし。

どれいうります

今日送られてきた日経ビジネス誌に面白い広告があった。

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要するに「奴隷売ります」という会社だ。こういう会社が日経ビジネスにカラーで1Pの広告を出すという事は、日本のIT業界で奴隷の脱走がますます日常化しているという事だろう。