まじめ

最近の学生は、まじめだという。

私も、小さい頃からまじめだ、とよく周囲に言われてきたし、自分でもそう思っていた。だが学生時代の私は、不真面目だった。ジャズ研に入った経緯は以前お話したが、大学3年生の時は、ジャズにのめりこんだのと鬱で大学には1日も行かなかった。1日行かないのも1年行かないのも同じだという幼稚な完全主義のせいでもあった。結局、この考えを改めるのには森田療法を要した。大学4年になった時にだいぶん目が覚めた私は、どうやったら卒業できるかを考えたが、考えるまでもなく、卒業するには4年生の1年間で2年分の単位を取るしかなかった。完全主義から方向転換して60点主義になった私は、とりあえず2年分の授業を受けて2年分の実験に出席した。提出するレポートは質より形式で、締め切りを優先した。テストも2年分受けるわけで、まともな点数を取れるほど勉強時間があるわけでなく、不合格続出だった。不合格になったテストは、教授のところへ行き、レポートを書くからなんとか「可」にしてくれと交渉した。いままでの「まじめ君」からは想像もつかない交渉ぶりだった。それに加えて、卒業論文の作成もあった。これも結果は散々で、あとでレポートを書くことでなんとか通してもらった。よく工学部は忙しく、「不夜城」と言われたが、私はさらにその倍忙しかった。結局、1年で学部2年分の単位を取ってめでたく卒業した。終わってみるとなーんだという感じで、これなら大学を卒業するのに2年あれば十分だという変な自信をもったものだった。

私は、大学生のときに不真面目になった。でもこれは社会人になるには必要な性格の切り替えでもあった。

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